大人の音楽レッスンが大人気ですが、大人になってから楽器を始めると性格が出やすいと聞きます。確かにそうかもしれません。
音楽を大人になってから始めようという方は、子どものレッスンと違い、ご自分の意志で習われるわけなので、どの方もしっかり取り組まれます。レッスンとレッスンの間は、かなり練習をされています。本当に素晴らしい。
鍵盤楽器に慣れていない方は、初めは指を動かすことがなかなかです。特に薬指は、日常生活ではほとんど使いませんから、頭からの指令がスムーズにいかなくて、「4番(薬指)ですよ」と言った時に、ご自分ではその指を使っているつもりなのに、中指が出ているということが多いのです。何度言っても、直らない時があります。そして、手元を見ていただいて始めて、「あ〜本当ですね〜」となるんです。
このように、長年の生活習慣的な自然な体の動きも出てくるように思います。性格的に活発な方はピアノの音も力強く、穏やかで大人しい方の弾き方はとてもソフト。几帳面な方は一つ一つ丁寧に弾かれます。
また、ご自分が納得するまで、じっくり時間をかけて曲を仕上げる方。反対に途中で飽きてしまったと曲をすぐ変えてしまわれる方。自信たっぷりな方、弾けているにもかかわらず確認しながら、自信なさそうに何度も弾き直しされる方。静かな曲も快活に弾かれる方は、実はおてんばさんだったということも。
例を上げれば、まだまだありますが、どのタイプの方も、ほとんどの方が素直に私の言葉を聞いてくださるのが、嬉しいです。長くレッスンに来てくださっている方は、性格的にも私と相性が合うのかもしれないと思っています。
子どもの場合は、本人がやりたくて習っているのと、親御さんに言われてレッスンを受けているというのでは、やっぱり子ども自身の取り組み方も違ってきます。子ども自身の性格ももちろん現れますが、親の性格が出てしまうことも多いと思います。ピアノが弾けない親御さんでも毎日の取り組みを一生懸命なさっていたり、親子で一緒に練習に取り組んでくださっていると、少しずつでも進んで、身についていきます。レッスンだけ受けて、ご家庭で放任していると、いつまで経っても弾けるようにならないのが実状です。
最近、残念だなと思ったのは、子どもさんは音楽に興味があるのに、親の考えで習わせる必要がないと決めつけてしまっている方がいました。これだけ、“音楽をすること、歌ったり、鍵盤楽器を弾くことが脳にいい“ と子どもだけでなく高齢者にとっても効果的だと言われているのに、もったいないなあと思いました。
何にでも通用すると思うのですが、自分自身の基本的な考えというものはしっかり持ちつつ、世の中の流れに合わせることだったり、柔軟性のある思考力を持つことも、これからの時代には必要なのではないかと思うのです。