ピアノのレッスンでは、テクニック的な教本と曲集とを使うのが標準的なものではないかと思います。
テクニック的なものは始めに短時間で、あとの時間で子どもならバイエルや短い曲を弾かせるという具合です。
お母さんによれば、とにかく曲を、特に有名で聴き映えのする曲を子どもに弾かせることをご希望されることが多いです。そんな場合、習い事の多い、時間のない子どもさんだとテクニック的なものは練習していないことがあります。パターン化しているものがほとんどなので、本来ならすぐに弾けるはずですが、指の動きのいわゆる準備体操を無視している状態は、やっぱりどこか、鍵盤に慣れていない感じが見受けられます。結局、きれいに曲は弾けない…。
それに反して、曲は気が進まないけど、テクニック的なものには面白がって、一生懸命に取り組む子どもさんもいらっしゃいます。他のピアノの本は全く弾こうとしないのに…。
テクニックなものなら、ちょっとアドバイスしてあげると、自分から進んで、できるようになるまでいつまでも一生懸命に引き続ける…。楽しくなると次々にやろうとするのです。音域の離れたところにもさっと指が鍵盤の正しい位置に跳べる。私はなかなか上手に弾けていると思うのです。
ところが、お家に帰れば、何の曲も弾いてなそうなので、お母さまもご心配なご様子。
本来なら、テクニック的な方も曲の方もバランスよく、どちらもできるのがよくて、両方がしっかりと練習できていれば、優秀な生徒さんだと言えると思います。
ピアノは 毎日、少しずつの積み重ね。指を動かすトレーニングは結果的に鍵盤に慣れる近道とも思うのです。
その基礎トレーニングだけが大好きな子どもさん。気長に見守ってあげていると、意外にも鍵盤能力がしっかり身につき、将来の演奏に繋がらないかと思っています。
発表会、今年は延期してしまったので、曲の取り組みが気が進まないのは、ちょっと中だるみになったかなと。子どもさんたちには可哀想だったかなと思っています。
子どもたちと一緒にこの先もまたレッスンを楽しみながら、頑張って取り組もうと思うのです。
何がいいかなんて、答えは一つではないですし…。